【医師監修】咳で肋骨骨折するのか?何科を受診したらよい?症状・治療・予防は?

医学

鳥居みゆきさんが「咳がつづいて、その後左胸が痛い」、病院を受診したら肋骨骨折だったというニュースがありました。

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「本当に咳で肋骨が骨折するの?」と疑問をもつ方もいると思います。

「咳で肋骨は骨折します!」

信じれない方もいらっしゃると思います。

高齢の女性になることが多いですが、20代の若い方でもなることがあります。

私の友人の放射線科医もコロナにかかり、咳で肋骨骨折しました。

スポーツや事故で起こる肋骨骨折とは原因が異なり、繰り返す咳による疲労骨折ということのようです。

「咳がつづいて胸も痛くなった!どうしたらいいの?」という疑問に答えさせて頂きます。

どのような時に肋骨骨折を疑うのか、どこを受診したらよいのか、治療はなにがあるのか?について一般外科医が、呼吸器専門医の妻の力を借りて説明させて頂きます。

どういうときに肋骨骨折を疑うのか?

肋骨に痛みがあり、痛いところを押して痛みがでてくるときは肋骨骨折を疑います。

肋骨の痛みが以下の時に増悪すると可能性が高くなります。

  • 起き上がったとき
  • 咳をしたとき
  • 笑ったとき
  • 深呼吸をしたとき

突然の強い痛みや息苦しさを伴う場合や痛みが移動する場合は、気胸、心筋梗塞、大動脈解離などの可能性もありますので注意が必要です。

そのようなときは病院に相談されてください。

どこを受診すればよいのか?

肋骨骨折は整形外科が専門になりますが、重症ではない場合は一般外科でも可能です。
 
しかし、後で述べますが、咳の原因となっている病気の検査、治療も同時に必要になるので、肋骨骨折だけでなく、内科(さらに専門的なのは呼吸器科)の受診も強くおすすめします。

咳が原因で肺損傷や血胸等の重篤な肋骨骨折の方に出会った経験は個人的にはありません。

夜間は休日は検査や治療は緊急性がある場合しかできないこと、専門医がいないこともありますので、重篤でない場合や緊急性がない場合は日中に病院を受診した方が二度手間にならずに済むと思います。

肋骨骨折の検査はなにがあるのか?

問診などの診察とレントゲンで診断します。
ただし、レントゲンでは軟骨は判断困難であることもあります。
重症度によってはCTで評価することもあります。

これらの検査で骨折の有無はもちろん、複数本の骨折や他の部位の骨折がないか、肺への損傷を疑う所見はないか、他の病気ではないかを判断します。

治療はなにがあるのか?

治療は肋骨骨折による治療も大切ですが、咳や骨粗鬆症が原因である場合はそれらの治療はもっと大切です。

「治療はどうするの?何科を受診すればよいのか?」について、「肋骨骨折」「咳」「骨粗鬆症」の順でまとめさせて頂きます。

① 肋骨骨折の治療

肺損傷、血胸、多発骨折等がなければ基本的には痛み止めとバストバンドによる固定をします。

痛み止めは喘息やアレルギーがなければロキソプロフェンを使うことが多いです。

バストバンドは市販のものでも問題ありません。

日本シグマックス 胸部固定帯 リブバンド2 Mサイズ 313202

病院で処方するバストバンドもほぼ同じものです。調べた限りこれが一番安そうです。

大きさがありますので体型にあわせた購入をおすすめします。

息苦しさや安静時にも強い痛みがある場合は、重症あるいは別の病気である可能性もありますので、病院受診を強く勧めます。

② 咳の治療

咳の原因がなにかを調べるための検査・診察をする必要性があります。

そのため、内科 の受診をおすすめします。

  • 感染性の気管支炎・肺炎
  • 気管支喘息・咳喘息
  • 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎)

ウイルス感染(風邪、コロナ、インフルエンザなど)で鼻水がでており、それが気管にはいって咳の原因になっている方も外来で経験します。

気管支喘息咳喘息やCOPDの方は吸入での治療、コントロールが大切です。

専門的に治療が必要な場合は呼吸器科が専門です。

たばこを吸っている人はたばこ自体が気管支を刺激+痰の量を増加→咳の原因になりますので、たばこをやめることが最優先事項になります。

意外と咳がでるけどたばこはやめないという方が多いのも実状です。

痰を伴わない咳の場合は咳止めも有効です。

ただし、肺炎などで痰を伴う咳の場合に容易に咳止めを使うのは注意です。

咳とは気管に異物がはいったときの生理的な防御反応です。
細菌の死骸がはいった痰を無理矢理咳止めをつかって、咳をとめてしまうことは肺炎の増悪につながるリスクがあります。

黄色の痰や緑の痰であるときは感染を疑いますので、抗生剤の治療が必要な場合もあります。

③ 骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療は、一般内科でも治療可能なところが多いです。

まずは骨密度の測定、血液検査で骨粗鬆症の診断と治療方針を決める必要性があります。

治療方針は大腿骨近位骨折や椎体骨折の経験がないか、腎臓の機能やCaの値をみて判断します。

治療はビタミンD製剤やビスホスホネート製剤というものがあります。

骨粗鬆症により骨折しやすい方は咳によって肋骨骨折につながっているので、優先すべき治療です。

予防はあるのか?

骨粗鬆症があれば骨粗鬆症、咳を引き起こす病気があればその治療をすることが予防のために最も大切です。

たばこを吸っている人は禁煙。

それにつきます。

以上、咳による肋骨骨折が起こったときにどうすればよいのかをまとめました。

少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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