コロナによってマラソン大会が中止になり、再開後の「いわて盛岡シティマラソン」「神戸マラソン」「信州安曇野ハーフマラソン」で心肺停止になった方がいらっしゃいました。
先に申し上げますが、コロナワクチンとマラソンによる心肺停止の関係性は不明です。関係があると断定することには同意していません。「ターボ癌」と同様否定も肯定もしない立場です。
コロナ前でもマラソン中に心肺停止になるという事例はありました。
例えば、2009年東京マラソンで松村邦洋さんが「急性心筋梗塞による心室細動が原因」で心肺停止になりました。
ランニングは糖尿病、高コレステロール血症など生活習慣病を予防する、あるいは改善するメリットもある運動です。
ただし、マラソンや普段のランニングで先ほど述べたような狭心症、心筋梗塞、あるいは心肺停止になってしまう方は一定の割合でいらっしゃいます。
マラソン大会に参加予定の方、ランニングをしている方が突然心肺停止にならないよう、注意すべきことについてまとめました。
これから予定されているマラソン大会も数多くあります。ぜひご参照いただければと思います。
マラソン中に心肺停止になったら生き返る確率は?
過去の報告に基づくと、ずばり「29%」です。
逆をいうと、マラソン中に心肺停止になると7割の方が救命できずに亡くなります。
この報告では、男性は女性に比べて5倍以上、フルマラソンはハーフマラソンに比べて2倍以上、心肺停止になるリスクがあがることがわかりました。
つまり、男性でフルマラソンに参加する方は特に注意ということです。
この報告では心筋梗塞・狭心症・肥大型心筋症が心肺停止の原因の多くを占めていたことが明らかになりました。
参考文献 Kim JH, Race Associated Cardiac Arrest Event Registry (RACER) Study Group. Cardiac arrest during long-distance running races. N Engl J Med. 2012
ではこれらの病気はどのようなものなのか?について説明させて頂きます。
マラソン中に心肺停止になる原因と症状は?
先述したように、マラソン中に心肺停止になるのは主に心臓の病気が原因であることが多いです。
原因としては以下が大部分を占めます。
① 心筋梗塞
② 狭心症 (労作性・冠れん縮性)
③ 肥大型心筋症
④ 心筋繊維症
①心筋梗塞、②狭心症
マラソン前のランニング練習中に
「走り始めると締め付けられるような胸の痛みがある」
「胸が押されるような症状」
「歯や耳にまでひろがる症状」
「走ると症状がでて、休むと症状がよくなる」
という症状は要注意です。
これは「労作性狭心症」の症状です。冠動脈という心臓に血液を運ぶ動脈が一時的に狭くなり、心臓に十分の血液が流れていない病気です。
15分以内に血液の流れが改善し、症状が軽快することもありますが、15分以上続く場合は「冠動脈が詰まってしまい心臓の筋肉が死にはじめている=心筋梗塞」である可能性があります。
ランニング中に「胸、あるいは胸から耳や背中に広がるような痛み」がある方は必ずランニング・マラソン前に病院、特に循環器の病院で精密検査することを強く勧めます。
狭心症には「労作性」と「冠れん縮性」があります。
ここでは簡潔にのみ述べますが、「労作性」は運動などの負荷で発症する狭心症、「冠れん縮性」は血管が突然けいれんして狭くなることで発症する、朝に起こりやすい狭心症です。
治療・精密検査が必要な病気です。
③肥大型心筋症
肥大型心筋症とは、心臓の筋肉が肥大してしまう病気です。
「心室中隔の非対称性肥大を伴う左室ないし右室、あるいは両者の肥大」と定義されています。
心臓の筋肉が肥大しているため、運動などで血液が必要な状態になると、筋肉に対して必要な血液量が足りずに心臓に血液が不足=狭心症や心筋梗塞につながります。
肥大型心筋症の方は過激な運動は禁止です。
参考文献:難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/320
④ 心筋繊維症
これは普段からトレーニングしている方に注意です。
これはマラソンランナーの方に多く、他の方の3倍多いという報告もあります。
心筋繊維症は心臓機能の低下や不整脈のリスクになるとされています。
生活習慣病や喫煙といった心筋梗塞や狭心症のリスクを下げることが大切です。
引用 【心臓が傷つく?速くて走歴の長いランナーは要注意!】心筋線維症についてhttps://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7c1fb75a71b65c4604262a41f5587d3acc6f7ea0
マラソン前日~当日に注意すること
これは非常に危険です。
もし、生活習慣病などがあり、動脈硬化や狭小化している状況で脱水を起こすとさらに血管が狭くなると、心臓に流れる血液が少なくなり、「狭心症」や「心筋梗塞」などを引き起こします。
必ずランニング、マラソン前は十分に水分を補給し、脱水になりやすい飲酒は避けるようにしたほうがよいです。
睡眠不足や過剰なストレスがある場合、食事量が落ちている場合も同様にランニング・マラソンによるリスクは高くなります。
もちろん、それ以外でも体調不良だな、と感じた際はマラソンは中止すべきです。
「無理しすぎないこと」
これがとても重要です。
マラソン前日よりも以前に注意すること
高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、高尿酸血症といった生活習慣病は「狭心症・心筋梗塞」のリスクを数倍上昇させます。
これらは「動脈が硬くなる=動脈硬化」や「動脈狭小化=コレステロールなどが血管に付着した血管が狭くなる」に直結します。
このような状態で走ると先ほど述べた「心筋梗塞」や「狭心症」が起こる可能性はぐっと高くなります。
そのため、これらの病気がある方はしっかり治療して十分にコントロールできた上でマラソンに参加する必要性があります。
また、喫煙も血管のれん縮や、動脈硬化に直結します。
マラソンに参加する方は絶対にやめた方がよいでしょう。
最後に
マラソン中の心肺停止は若い方でも起こりうることですが、やはり中年~高齢の男性に多いのが現状です。
このような方はマラソンに参加する場合は普段からジョギングしているような方でも心肺停止にならないように心臓の検査をしたほうがリスクを減らすことができます。
ランニング中に症状(胸の症状や意識がもうろうとする症状)がある方、生活習慣病がある方は必ず病院を受診し、必要な場合は治療を受け、マラソンは控えるこることが望ましい場合もあります。
一人でもマラソンで心肺停止になる方がすくなることを強く願っております。
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