学術振興会特別研究員に採用・合格するための申請書の書き方 DC2

研究

社畜夫である私は2023年4月から「日本学術振興会の特別研究員DC2」に採用されました。

これは簡単にいえば、若手研究者を育成することを目的とした助成で、特別研究員(DC1/DC2)に採用されれば月20万円、年間最大150万円のサポートをしてもらえます。

私が所属している医局ではこれまでに多くの先輩が採択されており、私も先輩方に指導していただき採択に至りました。

また、私はこれまで指導医の7件の研究計画(いわゆる科研費)を一緒に作成した経験があるので、他の大学院生に比べれば作成回数は多いと思います。

私が採択にいたるまでに注意したポイントをまとめると、以下の4つです。

審査員が「おっ!おもしろそう!」「これは最近トピックなのかな?聞いたことないな?」と思う課題名にする

これは私の指導医が最も注意する事項です。私の指導医は大学で最も研究費を獲得している一人ですが、講演でもこれを強く述べていました。

なにも思い浮かばない場合は採用されている科研費の課題名は公開されているので、それを参考にするとよいと思います。

KAKEN — 研究課題をさがす

ぱっとみただけで審査員がしっかり読もうかな、と思うまとめの図を挿入する

これは私や他に採択された先輩が参考にした参考書に記載されていたものです。

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私も研究の概要や計画を図をみたらわかるようにまとめたものを載せるようにしました。

日常の業務の中で複数の計画書を読んで評価しなければいけない審査員がぱっとみたときに読もうかな、と興味をもってもらうよう作成に努めることが大事と思います。

上記のFigureはPowerpointを作って作成しましたが、最近ではFigureの作成にこのサイトを利用している先生が増えています。
「Biolender」
https://www.biorender.com/

研究計画は実行可能で具体的に立てる、うまくいかなかったときの方法も記載

研究は実現可能で具体的に記載する必要があります。審査員がこれなら実現できそうだな、と思うようなものでなければいけません。面白いテーマだけど、実現するには期間が足りない、巨額の研究費がかかりそうというものは計画をきちんと立てることができていないという印象になる可能性があります。

私は実現可能であるということをアピールするために、ここまで結果がでているということを記載するようにしています。1例です。

スキルス胃癌は低分化型非充実型腺癌 (Por2) の1つだが、申請者はPor2胃癌CAFのheterogeneityを明らかにし、炎症性CAFを同定した [右上図: 業績9]。そして、Por2胃癌の炎症性CAFとMDSCが相互に作用している可能性を示した [次ページ下図]。以上より、スキルス胃癌の炎症性CAFがMDSCを誘導する機序を明らかにし、その責任分子を解明することができれば、スキルス胃癌の免疫抑制性微小環境をリモデリングできるのではないかと考え、本研究計画の着想に至った。

さらにうまくいかなかったときの方法も記載するとよいと参考書にも書いてあったので私も以下のようにしました。

既に予備解析で炎症性CAFの治療標的候補としてHGFなど複数の分子を同定している (下図, 自験例)。同定した責任分子の検討実験である項目(3)-(4)が順調に進まない場合は他分子を候補にする。

計画を実行できるという印象を与えるために学会発表や論文の実績を作る

現在は実績よりも計画に重きをおかれているようですが、計画の実現性を審査員にアピールするためには実績はあってマイナスに働くことはないと思います。

これまで論文発表や学会発表したことがない人にこの計画は実現できます、といわれるよりも実績がある人にいわれるほうが「実現できそうだな」と思われるのは当然のような気もしますね。

なにはともあれ挑戦しないことには採択されません。少しでも皆様の力になれれば幸いです。

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